【独自取材】明治大学理工学部スマートメカトロニクス研究室(伊丹研究室)医工連携で挑む、現場視点のモノづくり

「ロボット業界で活躍する企業・人」に焦点を当てるRobotMateHubインタビュー。

今回は、医学と工学を融合させた「医工連携」を強みに、使用者が本当に求める機能を追求する明治大学理工学部 スマートメカトロニクス研究室(伊丹研究室) 伊丹 琢 先生にお話を伺いました。

かつては「かっこいいロボットを作りたい」という純粋な憧れからスタートした伊丹先生。しかし、ある医療従事者からの「問い」が、研究者としての姿勢を大きく変える転機となりました。
現場の声を徹底的に重視し、自ら医学部で学び直すほどの情熱を持つ伊丹先生が、学生たちと共に描く「20年後の未来」とは?

「かっこいい」から「役に立つ」へ。現場の「問い」が変えた研究の原点

ーーまずは、研究室の取り組みと、この分野に進んだきっかけを教えてください。

伊丹先生

伊丹先生

私の研究室では、「本当に必要な機能とは何か」に着目したモノづくりをテーマに、様々なロボット・デバイスの研究開発を行っています。特に「医工連携」を強みにし、研究分野を絞らず多角的な視点からアプローチしています。

私自身、もともとは「かっこいいパワーアシストロボットを開発したい」という思いでこの分野に進みました。しかしある時、医療関係者の方から「それはどんな症状を持った、どんな人の、何を解決するロボットなのか?」と問われ、ハッとしたのです。

ーーその言葉が転機になったのですね。

伊丹先生

伊丹先生
はい。「開発者が作りたいモノ」と「現場が求めるモノ」に大きな乖離(ギャップ)があることに気づかされました。
それ以降、「現場で本当に求められているものとは何か」を常に頭の中心に置くようになりました。ロボット工学だけでなく、医学や装具学、看護学なども学び、現在は私自身も社会人ドクターとして医学(整形外科学)を学んでいます。

「なぜ普及しないのか?」を問う多角的視点

大切にしている理念:「現場を知る」と「多角的視点」
高性能な技術があっても、日常で使われていなければ意味がない。「なぜ使われないのか」という課題にこそ研究要素がある。

ーー研究を行う上で、特に大切にされていることは何でしょうか?

伊丹先生

伊丹先生

学生さんはよく、最新の論文や機器を見て「もう研究する余地がない」と思ってしまいがちです。しかし、「ではなぜ、その技術が今の日常生活に取り入れられていないのか?」を考えると視点は変わります。

例えば、臨床試験で効果が出た装着型ロボットでも、街中でつけている人はほとんどいません。それは価格なのか、装着の手間なのか、エラーの問題なのか。現場を知り、多角的な視点でその「阻害要因」を考えることこそが、本当の解決策(答え)に繋がると考えています。

「研究力」×「活動力」。若き研究室主宰としての挑戦

ーーこれまでの歩みの中で、困難だったことや、研究室の強みについて教えてください。

伊丹先生

伊丹先生

最大の困難は、自身の研究室を主宰する立場に至るまでの過程でした。一般的には長い時間を要しますが、私は2024年度より、比較的早い段階でその機会をいただきました。道のりは平坦ではありませんでしたが、信念を貫き行動した結果だと感じています。

研究室の強みは「研究力」と「活動力」の両立です。
論文執筆や学会発表はもちろんですが、イベント開催や展示会出展、YouTubeやInstagramでの発信など、社会とつながる活動も積極的に行っています。学生たちには、行動力と多角的な視点を身につけてほしいと願っています。

未来への野望:次世代が輝く環境をつくりたい

ーー今後の展望や、実現したい未来についてお聞かせください。

伊丹先生

伊丹先生
教育者として、学生たちが将来社会で活躍できる環境づくりこそが我々の仕事だと考えています。
研究室では「20年後の未来想像とそれに対して今自分が行うこと」というテーマでゼミを行っています。生成AIやロボット技術が革新を続ける中で、昨年開催した「未来イノベーションプロジェクト」のように、未来の若者たちが輝くことができる場をこれからも作っていきたいですね。

まとめ:ニーズとシーズの合致が「価値」を生む

最後に、読者へのメッセージをいただきました。

伊丹先生

伊丹先生
「モノづくり」は、ニーズとシーズの合致があって初めて価値が生まれます。
いつの間にか「作りたいモノの押し付け」になっていないか、常に問いかけることが大切ではないでしょうか。若い学生さんには、知識と実力をつけ、柔軟な視点をもって、これから社会で未来を変える力として活躍してほしいと思います。

【取材協力】
明治大学理工学部 スマートメカトロニクス研究室(伊丹研究室)
お話:伊丹 琢 先生
研究室HP:https://www.itami-robot-research.net/

伊丹 琢 先生 プロフィール・経歴

学歴

  • 2017年 4月 ~ 2020年 3月
    三重大学大学院工学研究科 博士後期課程(システム工学)
  • 2022年 4月 ~ 現在
    岐阜大学大学院医学系研究科 博士後期課程(リハビリテーション学)

経歴

  • 2018年 7月 ~ 2020年 3月
    三重大学工学部機械工学科/地域創成戦略企画室 助教
  • 2020年 4月 ~ 2024年 3月
    青山学院大学理工学部電気電子工学科 助教
  • 2024年 4月 ~ 現在
    明治大学理工学部電気電子生命学科 専任講師
  • 2024年 5月 ~ 現在
    青山学院大学 客員講師

受賞

  • 2017年 3月
    日本機械学会三浦賞
  • 2020年 3月
    三重大学学長賞 等

委員歴

  • 2018年 7月 ~ 2020年 3月
    三重大学 北勢サテライト運営委員
  • 2019年 4月 ~ 2020年 3月
    計測自動制御学会 中部支部運営委員
  • 2021年 4月 ~ 2024年 3月
    青山学院大学 先端情報技術研究センター(CAIR) 運営委員
  • 2021年 4月 ~
    青山学院大学 総合プロジェクト研究所 相模原DX推進センター メンバー

スマートメカトロニクス研究室について

メンバー構成(2025年度)

  • 博士後期課程1年1名
  • 博士前期課程2年7名
  • 学部4年生9名
  • 学部3年生9名
  • 合計26名

主な就職先

  • エリクソン・ジャパン株式会社
  • 株式会社NTTドコモ
  • シスメックス株式会社
  • 西武鉄道株式会社
  • ナブテスコ株式会社
  • パナソニック株式会社
  • 富士通株式会社
  • 本田技研工業株式会社
  • 三菱電機株式会社 等