【独自取材】LaboRobo 代表 稲川雅也氏が語るエンジニア不在でも実現できる実験自動化の未来

「ロボット業界で活躍する企業・人」に焦点を当てるRobotMateHubインタビュー。

今回は、研究開発現場における「9割の単純作業」からの解放を掲げ、実験自動化ソリューションを展開する株式会社LaboRobo 代表取締役 稲川 雅也 氏にお話を伺いました。

かつて化学系の研究室に所属していた稲川氏。そこで直面したのは、研究者が本来行うべき「思考」の時間までもが、単純作業によって奪われているという現実でした。 「自動化技術を、誰もが使えるものにする」という理念のもと、専門知識不要でロボットを操れる世界を目指す稲川氏の、創業の原点と野望に迫ります。

「研究時間の9割が単純作業」への違和感が原点

ーーまずは、事業内容と創業のきっかけについて教えてください。

稲川氏

稲川氏

私たちは主に、アカデミアや企業の研究室に特化した「実験自動化ソリューション」を提供しています。 創業の原点は、私自身が修士課程で化学系の研究室に所属していた時の強烈な実体験にあります。当時、研究時間の実に「9割」が、ピペット操作やサンプルの移動といった単純作業に費やされていたのです。

「研究者が本来使うべき頭脳労働の時間が、作業によって奪われている」。この現実に愕然とし、研究スピードを加速させるためには、実験の自動化技術を社会実装するしかないと考えました。

ーーそこからどのように事業化へと進んだのでしょうか?

稲川氏

稲川氏

最初は、自分の研究を楽にするために、個人的に実験装置を自動化し始めたのがスタートでした。 実際に運用してみると効率が劇的に上がり、周囲の研究者からも「そのシステムが欲しい」と言われるようになったのです。「これは自分だけの課題ではない」と確信し、プロジェクトとしての拡大を決意しました。現在はエンジニアやデザイナーなど15名のメンバーが集まり、チームとして活動しています。

「エンジニア不在」でも使える自動化を目指して

大切にしている理念:「自動化技術を、誰もが使えるものにする」 高価で専門知識が必要なこれまでの自動化ではなく、予算や技術者が不足している現場でも導入できる「身近な自動化」を追求する。

ーー貴社の強みや、開発におけるこだわりについてお聞かせください。

稲川氏

稲川氏

ハードとソフトの両面からアプローチできる点が最大の強みです。 ハード面では、既存のロボットをただ導入するのではなく、現場ごとの実験器具に合わせた「カスタムパーツ」を3Dプリンタで即座に設計・製造し、フィットさせます。これにより、東北大学の4つの研究室ですでに複雑な手作業の自動化を実現しています。

ソフト面では、現在開発中の「LabCraft」というシステムに注力しています。これは、専門知識がなくても「自然言語(普段の言葉)」で指示を出すだけでロボットアームを制御できる仕組みです。「使いやすさ」に徹底的にこだわり、ハードルの高いプログラミングを不要にしました。

未来への野望:ロボットを「助手」として使いこなす世界

ーー今後の展望や、実現したい未来についてお聞かせください。

稲川氏

稲川氏

「エンジニアがいなくても自動化ができる世界」の実現です。 これまでは、自動化装置を導入しても、それを扱う専任のエンジニアがいなければ運用できませんでした。私たちはその壁を壊したい。

化学や生物学の研究者が、エンジニアに頼ることなく、自分の言葉でロボットをあたかも「助手」のように使いこなせる。そんな未来を作ることで、研究開発のスピードを底上げしていきたいと考えています。

まとめ:クリエイティブな仕事に集中できる環境を

最後に、読者へのメッセージをいただきました。

稲川氏

稲川氏

研究や開発の現場で「この単純作業さえなければ」と感じている作業があれば、それはきっと自動化できます。 私たちは、現場の皆様と同じ目線に立ち、技術でその負担を取り除くお手伝いをします。誰もがクリエイティブな仕事に集中できる環境を、一緒に作っていきましょう。


【取材協力】 株式会社LaboRobo
お話:代表取締役 稲川 雅也 氏
会社HP:https://labo-robo.jp

株式会社LaboRobo 企業プロフィール

事業概要

研究開発現場(アカデミア・企業の研究室)に特化した実験自動化ソリューションの提供。 安価な小型ロボットアームと、技術的ハードルを下げるソフトウェアを組み合わせ、予算や技術者が不足している現場でも導入可能な「身近な自動化」を推進。

主なソリューション

  • ハードウェア 3Dプリンタを活用した実験器具用カスタムパーツの即座設計・製造
  • ソフトウェア 自然言語によるロボット制御システム「LabCraft」(開発中)

実績・活動

  • 導入実績 東北大学 4研究室にて稼働中
  • チーム体制 エンジニア、デザイナー等 15名のメンバーで活動

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