2026年9月16日(水)、パレスホテル東京で開催された1Dayカンファレンス「フィジカルAI Summit」(NexTech Week/主催:RX Japan合同会社)に、RobotMateHub創業者・合同会社ヤマリキエッジ代表の山本力弥が登壇しました。

イベント概要
「フィジカルAI Summit」は、「日本のフィジカルAIを、構想から実装へ。」をテーマに掲げるカンファレンスで、一般社団法人AIロボット協会(AIRoA)が後援しています。山本は約100名規模の着席セッション「DEEP DIVE」枠に登壇し、30分の講演を行いました。
| イベント名 | フィジカルAI Summit(NexTech Week) |
|---|---|
| 主催 | RX Japan合同会社 |
| 開催日 | 2026年9月16日(水) |
| 会場 | パレスホテル東京 |
| 登壇枠 | DEEP DIVEセッション 13:30〜14:00 |
| 登壇者 | 山本 力弥(合同会社ヤマリキエッジ 代表 / RobotMateHub 創業者) |
| 講演テーマ | フィジカルAIの導入をどう進めるか ― 技術の先にある、現場・人材・運用のボトルネック |
講演のテーマ ― 「動くのに、居着かない」
今回の講演は、フィジカルAIの技術そのものではなく、「なぜ現場で止まるのか」「導入判断とPoC卒業の基準をどう置くか」に焦点を当てました。
山本は10年以上にわたり、人型・四脚ロボットを企業・店舗・教育機関へ届ける「売る側」として数多くの現場に立ち会ってきました。同時に、期待されて導入されたロボットが数か月後には使われなくなる現場も、同じだけ見てきています。その実体験をもとに、「PoC(お試し導入)までは通る。デモは動く。止まるのはその先、本番として現場に定着させる段階だ」という問題提起から講演は始まりました。
動くのに定着しない。原因の多くは、技術の外側と、買ったあとの経済にある。
講演の主なポイント
1. ハードはコモディティ化の波 ― WRC北京2026の現地レポート
2026年8月に北京で開催された世界最大級のロボット展示会「World Robot Conference」を視察した山本は、同型のヒューマノイドが何十社も並び、完成度が横並びになりつつある現状を紹介。ハードウェアの差別化が急速に難しくなっていることを、現地の写真とともに共有しました。
2. コストは本体だけではない ― 「不都合な真実」
ロボット1台・3年間のコストを自社試算で分解すると、本体価格は全体の一部にすぎず、導入(SI・安全対策・多指ハンド・周辺機器)、保守、遠隔監視といった費用が積み上がります。極端な試算例では、人を1人雇用する場合のフルロードコスト(給与・社会保険・採用・教育)と比べ、ロボットのほうが約3倍規模になるケースも示されました。
※講演内で示された数値はイメージ・自社試算による極端例であり、「1台=1人」を前提としたものです。フリート規模・量産化によって差は縮まります。
3. 普及の両輪 ― ロボット側はコストを下げ、人間側はコストを可視化する
その上で山本は、普及は「労働置換」の一本道ではなく、両輪で進むと整理しました。
ロボット側:コストを下げ続ける
- ハードが安くなる(中国量産で価格は下落。ただし導入・保守の固定費は本体ほど下がらない)
- 安定化・保守減・24時間化(自律バッテリー交換で連続稼働へ)
- 学習・乗り換えコストが下がる(基盤モデルで教示が「数週間→数分」との見方も)
- 複数台をまとめて遠隔運用(フリート管理で監視を薄める)
人間側:コストを可視化し続ける
- 危険のコスト(事故の期待値・評判リスク)
- 人がいない・採れない(人手不足・高齢化)
- 人が入れない領域(宇宙・深海・高線量)
「待つのではなく、自分たちで引き寄せる」「見えないコストを見えるようにする」――この両方を同時に回すことが普及の条件だと語りました。
4. 詰まるのは、いつもこの3箇所
両輪が回っても、入れ方を間違えれば止まります。山本は、導入がつまずくポイントを次の3つに整理しました。
- 運用設計 仕事の流れ・役割・物理環境
- 体制 担当と責任・不安への手当て
- 人材 動かせる人/育てる仕組み
ここを外すとやり直しが発生し、導入コストが膨らみ、費用対効果が崩れる。だからこそこの3箇所を、「目利き」「伴走」「育成」で守ることが重要だと強調しました。
5. だから必要な3つのこと
「知ってる人」が要る
どこで詰まるか、入れる前に名指しできる人。相性のいい仕事から入れ、詰まりを予見し、合わない導入を「やらない判断」ができる。
入れて終わりにしない
納品で終わりではなく、稼働後も運用・保守・改善(RaaS)を回し続ける。「引き渡して終わり」ではなく、伴走できる相手を選ぶ。
動かせる人を、内部に増やす
技術は買えても、動かす人は育てるしかない。R検定で経営層と現場の共通言語をそろえ、実機に触れ、ハッカソン・共創の場で学びと現場をつなぐ。
6. 学ぶ場・出会う場が、各地で増えてきた
講演の後半では、目利きに会い、伴走を探し、人を育てる「場」が全国に広がっていることを紹介。RobotMateHub(人材育成×マッチング)のほか、KUPAC(京都大学発のフィジカルAIコミュニティ)、Physical AI NEXUS(富士通によるフィジカルAI社会実装コミュニティ/川崎・北九州)、Robizy(ロボットビジネスの業界団体)などを挙げ、「一人でやらない」ことの大切さを語りました。
だいじなのは、目利き・伴走・育成の3つ。そういう場所、もう各地にあります。連携していきましょう。
RobotMateHubからのお知らせ
講演の締めくくりでは、RobotMateHubが目指す「ロボットのことが好きな人材がたくさんいるプラットフォーム」と、この半年間の活動(ハッカソン・展示会・登壇・自治体連携・教育・海外視察)を紹介しました。あわせて、今後開催するヒューマノイド活用ハッカソンを告知しています。
Humanoid Hack Tokyo 3Co-Host
2026年10月31日(土)〜11月3日(火・祝)
ウイルテック フィジカルAIハッカソン主催
2026年11月14日(土)〜15日(日)
北九州フィジカルAIハッカソン2026
2026年11月28日(土)〜29日(日)
ハッカソンは全国展開を進めており、共催・協賛パートナーを募集しています。各イベントの詳細は決まり次第、本サイトおよびSNSでご案内します。
最後に
ご来場いただいた皆さま、そして登壇の機会をくださったRX Japanの皆さまに、心より御礼申し上げます。RobotMateHubは今後も、ロボット人材の供給インフラとして「目利き・伴走・育成」をつなぎ、日本のフィジカルAIを構想から実装へ進める活動を続けてまいります。
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