EVENT / 登壇報告
フィジカルAI/ロボット業界に特化した人材育成・マッチングプラットフォーム「RobotMateHub」の代表・山本力弥が、2025年11月11日(火)、Tokyo AI(TAI)主催のセッション「AI × Society: From Home to Industry – Building a Robot Friendly Society(TAI AIS #04)」に登壇しました。「新ロボット3原則」を軸に、公共空間と民間の現場で機能する設計思想と導入ノウハウを共有しています。本記事では、イベントの概要と山本の講演内容をまとめます。
この記事の要点
- Tokyo AIの「AI in Society(AIS)」シリーズ第4回で、人とロボットの共生を家庭から産業まで横断して考えるセッション
- 山本は「The New Three Laws of Robots」と題し、相互尊重・社会的役割の共有・共進化という3つの「約束」を紹介
- 同じテーマは、2026年4月に国際学会「WeRobot 2026」(ベルリン)で論文として発表
開催概要
- イベント名
- AI × Society: From Home to Industry – Building a Robot Friendly Society(TAI AIS #04)
- 開催日時
- 2025年11月11日(火)18:00〜21:00
- 会場
- 東京・渋谷
- 主催
- Tokyo AI(TAI)
- サポーター
- DEEPCORE/Value Create
- 形式
- 講演3本+ネットワーキング
- 対象
- DX・新規事業・人事・研修・広報の担当者、研究者・開発者、AI/ロボティクスに関心のある実務家
Tokyo AI(TAI)は、エンジニア、研究者、投資家、プロダクトマネージャー、企業のイノベーション担当者などが参加する、東京を拠点としたAIコミュニティです。本セッションは、その中の「AI in Society(AIS)」グループによる第4回にあたります。
今回のテーマは、人とロボットが共存する未来に日本がどう備えるかです。家庭における感情面・倫理面の設計から、公共空間や産業への統合までを、社会政策、家族システム、人間中心のロボティクスという観点から掘り下げる内容でした。
当日のプログラム
- 18:00開場
- 18:30–19:00Designing Robots That Feel: Emotional Connection in Humanistic Robotics青木 俊介 氏(ユカイ工学)
- 19:00–19:30Raising Artificial Children: Ethics, Emotion, and the Future of Family AISara Filipčić 氏(Be Human(e))
- 19:30–20:00The New Three Laws of Robots: Designing a Robot-Friendly Society山本 力弥(Yamariki Edge)
- 20:00–21:00ネットワーキング
- 21:00閉場
山本の講演「The New Three Laws of Robots」
講演の概要
山本の講演テーマは、「新ロボット3原則」をもとにした、Robot Friendlyな社会の設計と、実ビジネスでのロボット実装ノウハウです。
イベントの講演概要によると、山本は太田 智美氏とともにまとめた「新ロボット3原則」をもとに、人とロボットの関係を、相互尊重・社会的役割の共有・共進化という3つの進化する「約束」として捉え直しました。そのうえで、この考え方を日本の日常生活にどう落とし込むか、公共空間と私的空間における人とロボットの共存を律する社会的・倫理的・法的な規範をどう考えるかを取り上げています。
講演で扱った3つの論点
- 新ロボット3原則の骨子:相互尊重/社会的役割の共有/共進化
- 社会規範と運用ルールの設計視点:家庭・公共・産業にまたがって考える
- 現場導入の作法:小さな実装から始める(要件定義、リスク評価、運用ガバナンス)
「新ロボット3原則」とは
「新ロボット3原則」は、人とロボットが日常生活や公共空間で暮らしやすい社会の実現を目指す「Robot Friendly プロジェクト」が、2025年9月29日に大阪・関西万博で公開した行動原理です。発案者は同プロジェクト発起人の太田 智美氏(滋賀大学データサイエンス学部 講師)で、山本はプロジェクトのアンバサダーとして共同執筆に参画しました。
アイザック・アシモフのロボット3原則が、ロボット側の行動規範として設計されたのに対し、新ロボット3原則は人とロボットの相互関係に焦点を当て、双方の責任と行動原理を示している点が特徴です。万博での発表を報じた記事では、3つの約束は次のように紹介されています。
相互尊重
ヒトとロボットは互いの存在を尊重し、敬意を持って接すること
社会の一員であること
ヒトもロボットも互いに、社会のネットワークの一員として振る舞うこと
共進化
ヒトとロボットが共に学び、成長し、より良い社会の実現に貢献する
出典:こどもとIT(インプレス)2025年11月28日掲載記事。同原則は、社会と技術の進展に合わせて更新していくものとされています。
同じ回に行われた講演
青木 俊介 氏:Designing Robots That Feel
ユカイ工学の青木氏は、アート・テクノロジー・感情が交わる領域での約20年の経験をもとに講演しました。触れ合いによるコミュニケーション(Qoobo)から家族に寄り添う存在(BOCCO emo)まで、感情に訴える設計の原則が、ロボットをより親しみやすく、人間中心のものにするという内容です。
Sara Filipčić 氏:Raising Artificial Children
Be Human(e)のFilipčić氏は、AIコンパニオンや家庭向けロボットが、子どもの発達や家族のあり方に与える影響を取り上げました。日本での異文化比較研究などをもとに、共感・信頼・倫理的なケアを、次世代の家庭向けAIやロボットにどう組み込むかという設計原則を探る内容です。
実務家にとってのポイント
本セッションは、DXや新規事業に携わる実務家を主な対象としていました。山本は、参加者が持ち帰れる視点として次の2点を挙げています。
- 生成AIとロボットの役割設計を、業務フローと、安全・説明責任の観点から見直す
- 感情設計、家庭AI、公共実装を一続きで俯瞰し、自社プロジェクトに適用できる判断軸を持つ
講演後のネットワーキングでは、研究者、投資家、プロダクト責任者との交流の時間が設けられました。
その後の展開
「新ロボット3原則」をめぐる発信は、本セッションの後も国内外で続いています。
- 2025.09大阪・関西万博「ROBOT&MOBILITY STATION」で「新ロボット3原則」を公開(Robot Friendly プロジェクト)
- 2025.11Tokyo AI「AI × Society(TAI AIS #04)」で講演(本記事)
- 2026.04国際学会「WeRobot 2026」(ベルリン)で、太田 智美氏との共著論文「Reimagining the Three Laws of Robots: Ethical Principles from Field Deployment for Adaptive Governance」を発表
- 2026.05「Humanoids Summit Tokyo 2026」に登壇
論文の詳細は著書・論文ページ、登壇実績は登壇・講演ページに掲載しています。
登壇者プロフィール
山本 力弥Rikiya Yamamoto
RobotMateHub 代表/合同会社ヤマリキエッジ 代表/一般社団法人ビジネスAI推進機構(BAAO)代表理事
ロボット業界歴11年。アクセンチュアでコンサルタントを務めた後、ソフトバンクロボティクスへ。人型ロボットの事業責任者として法人・個人への展開に携わり、四足歩行ロボットの日本市場導入(2020〜2021年)にも従事。現在は、フィジカルAI/ロボット業界に特化した人材育成・マッチングプラットフォーム「RobotMateHub」を運営している。Robot Friendly プロジェクト アンバサダー。BAAO代表理事として経済産業省のAIガバナンスガイドライン策定にも参画。著書に『ロボット共存時代の教科書』ほか。
青木 俊介 氏Shunsuke Aoki
ユカイ工学 Co-founder & CEO/武蔵野美術大学 教授
感情に訴える設計と、人とテクノロジーの関わりを融合させた取り組みで知られる。ユカイ工学の創業以前には、チームラボを共同創業し、ピクシブでCTOを務めた。(イベントページの紹介文より)
Sara Filipčić 氏
Be Human(e) Co-founder & CEO
ロボットが子どもの発達や家族システムに与える影響を研究する研究者で、Techstarsの支援を受けた創業者。心理学・ロボティクス・倫理をつなぐ、ボストン拠点の取り組みを率いている。(イベントページの紹介文より)
よくある質問
- 新ロボット3原則とは何ですか?
- Robot Friendly プロジェクトが2025年9月に大阪・関西万博で公開した、人とロボットの共生のための行動原理です。相互尊重、社会の一員であること、共進化という3つの「約束」で構成されています。
- アシモフのロボット3原則と何が違いますか?
- アシモフの3原則はロボット側の行動規範として設計されています。新ロボット3原則は、人とロボットの相互関係に焦点を当て、双方の責任と行動原理を示している点が異なります。
- 同じテーマでの講演を依頼できますか?
- 可能です。「新ロボット3原則」をはじめ、ヒューマノイドの社会実装や人材育成などのテーマで、基調講演、パネルディスカッション、ワークショップなどに対応しています。登壇・講演ページをご覧ください。
関連リンク・出典
- AI × Society: From Home to Industry – Building a Robot Friendly Society(TAI AIS #04)イベントページ(Luma)
- Tokyo AI(TAI)公式サイト
- 新ロボット3原則(Robot Friendly プロジェクト)
- こどもとIT「ロボットは家族の一員、一緒に街を歩ける社会は実現できるか?万博最終日に発表された『新ロボット3原則』」
- 滋賀大学「滋賀大学の学生が大阪・関西万博で『Robot Friendly』社会の実現に向けた調査活動を実施」
RobotMateHubについて
RobotMateHubは、学習コンテンツ・R検定・マッチング・ハッカソン・Research・Consultingなどの事業を展開する、フィジカルAI/ロボット業界特化の人材育成・マッチングプラットフォームです。運営は合同会社ヤマリキエッジ(東京都渋谷区)。
※本記事は、合同会社ヤマリキエッジ公式サイトで2025年11月12日に公開した記事を、RobotMateHubへの移管にあたり加筆・再構成したものです。登壇者の所属・肩書は開催当時のイベントページに基づきます。

